2011年 03月 24日
全国最多の原発を抱える福井県知事の国への要請書 |
3.11福島原発事故を受け、福井県は3月17日付けで経済産業省宛に以下の緊急要請書を提出した。
「要望が実現されなければ、今後の計画は容認しない」至極当然の要望である。
写真は街森研究所http://d.hatena.ne.jp/conokix/20080927より転載させていただきました。
上段:もんじゅ 下段:敦賀原発。
(「もんじゅ」は、現在改良工事中であるが、10年8月26日に装置搬入事故が発生した。2011年2月21日、この装置を現場で担当する燃料環境課長が敦賀市の山中で自殺していたことが分かったとの報道がある)
緊急要請書 福井県
今回の「東北地方太平洋沖地震」について、東京電力福島 第一原子力発電所においては、「止める」機能は維持されたが、「冷やす」、「閉じ込める」機能が喪失し、放射性物質の放出により、周辺住民が被ばくするという重大な原子力災害が発生している。
現時点では、原因や事業者の対応状況等に係る情報公開が 十分ではなく、詳細は明らかではないが、その主たる要因は、 地震または津波により、海水冷却系ポンプ等が破損し、本来作動すべき電源の維持確保、原子炉冷却システムが機能しなかったことと想定される。
こうした事態に至ったことは、設備面でも人員面でも、電力事業者や国の対応が不十分であったことによるものであり、 全国最多の原子力発電所が立地している福井県民に多大な不安を与えている。
原子力発電所の安全確保については、国が一元的に責任を 有しており、県民・国民の安全・安心を確保するため、下記 事項について、国が早急に対応するよう緊急に要請します。
平成23年3月17日
経済産業大臣政務官 中山 義活 様
福井県知事 西川 一誠
1.原子力災害の早期収束と情報公開の徹底について
(事態対応の努力と支援の的確要請について)
(1)東京電力福島第一原子力発電所で発生している原子力災 害については、電力事業者はもとより、国自らが前面に立 って、事態の早期収束に最大限の努力を傾注すること
福井県としても原子力事故に対する立地自治体としての これまでの経験・知見があり、また、西日本の各電力事業 者にも人的・物的支援の用意があると聞くので、国においてはこれらの活用について的確に要請していただきたい。
(情報の可能な限りの迅速な公開について)
(2)発電所で起こっている様々な事象については、原子力立 地自治体や住民等に対し、迅速かつ適切に情報公開を行うシステムを構築すること
国においては、既に本県の要請に応え、敦賀保安検査官 事務所を拠点に全国の立地自治体に対する情報提供を行う こととされた。また、昨日からは、立地自治体の東京事務 所に対する状況説明会を定期的に説明するなどの対応をとられている。
今後はさらに、政府広報に予算を投入し、国自ら、また 電力事業者を指導して、新聞・テレビ等を通じ、県民・国 民に対する迅速かつ正確な情報公開を行うこと.
2 原子力災害発生の原因究明と安全確保対策について
(地震振動か津波かの原因について)
(1)今回の原子力災害の原因については、地震の揺れによる ものか、津波の影響によるものか等を検証し、その知見に基づき、原子力発電所の「冷やす」、「閉じ込める」機能が いかなる場合にも確保されるよう、国が電力事業者を厳格 に指導すること
(電源・取水機能について)
(2)特に、原子炉や格納容器等の安全を確保するための冷却 システムについては、地震・津波によっても電源・取水設 備の設置位置などの多重性が確実に確保され、重要機器・ 設備が所定の機能を発揮するかどうか電力事業者に総点検 を指示し、電源系統を含めその多重性の更なる向上を図る こと
(バックアップ機能について)
(3)緊急時における発電所の人員配置体制、支援要員体制の 充実、電源喪失などシビアアクシデントを想定した訓練の 実施、電源車、放水車、冷却ポンプ等の資機材の確保など、 発電所の危機対策管理について、人的・物的両面から国・ 電力事業者が一体となった支援体制を構築すること.
3 原子力防災対策の充実について
(原子力災害の被害想定と避難対策・範囲の見直しについて)
現在、福井県では、原子力災害時の退避・避難のための 基準については、国の原子力防災指針に定められた基準よりも厳しく設定しているが(屋内退避:国 10mSv、福井県 5mSv など)、避難範囲については国の指針に基づき概ね半径 10km 以内としている。
国においては、今回の事態を踏まえ、想定すべき原子力
災害の被害設定、避難範囲の設定等について、現行の防災
指針の課題および今後講じるべき対策を明らかにすること
4 耐震安全性の向上について
(日本列島の地震評価の見直しについて)
(1)今回の地震発生メカニズムを解明し、原子力発電所の耐 震安全性の再評価の際に実施した活断層や津波、地震動等 の評価結果について、今後反映すべき知見を明らかにする こと
(日本海側の地震・津波の知見の検討について)
(2)特に、日本海側で発生した過去の地震・津波を歴史的な 見地から再検証し、今回のようなプレート境界型地震が日 本海側で発生する可能性やその範囲、想定されるマグニチ ュード・津波の大きさ等について、本県および各県の原子 力発電所の耐震安全性に反映するべき知見があるかを明ら かにすること
5 原子力防災道路の早期整備について
(アクセス確保の特別支援について)
地域住民の避難経路の確保等の観点から、原子力発電所の 周辺の防災道路の早期整備を促進すること
特に、本県嶺南地域の原子力発電所は、すべて半島先端部 に位置しており、大規模な地震・津波の際にも発電所へのア クセスが確実に図られるよう、整備経費について国が特別な 支援措置を講じること.
by inmylife-after60
| 2011-03-24 21:31
| 震災・原発・廃炉
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