2011年 04月 07日
日本の協同組合による「協同組合憲章」起草に思う! |
写真は、東京大手町にあるJA全中(全国農業協同組合中央会)のビル(JAビル)。(HPより転載)
日本の協同組合による「協同組合憲章」起草に思う!
〜「新しい公共」への実践のために〜
0)はじめに
現在、日本の協同組合による「協同組合憲章」の起草と策定作業が行われています。
これは、1995年ICA(国際協同組合同盟)マンチェスタ大会にて採択された「協同組合のアイデンティティに関するICA声明」を受けて、日本における協同組合のあるべき姿と実践指針を提起するものであり、国連の2012年を「国際協同組合年」とする取り組みに呼応するものです。
従ってこの憲章は、3.11震災後に発表される国レベルの協同組合起草の文書になります。ICAでも当然被災地日本からのメッセージとして紹介されるものと思います。
未だパブリックコメントが求められる以前の段階ですが、たたき台として送付された文書を読んで、提起すべきことについてまとめました。
1)まず、時代認識とビジョンの明示を
「前文」は、すくなくともこれから私たちが生きようとする世界や社会がどのようなものなかのかを明示され、このままの現状の積み重ねで行き着き先はどんなところか、我々のめざすところはどんなところなのか、その時協同組合と構成する人々はどんな姿なのか、要は「ビジョン」がないと、「自助・共助・公助のベストミックス」をめざす「新しい公共」の概念も、一人歩きしてしまう可能性を危惧します。
すくなくとも、3.11震災に伴う原発事故にふけれないわけにはいきません。
2)21世紀の最初の10年への思い
21世紀に入り、世紀的な単位での事件が連続しています。01年9.11、08年9.15、11年3.11です。
この3つの事件や事故をどのように見ていくかは大きな分岐点になると思います。私は、この3つの事件を17世紀以降の産業革命以来の資本主義の覇者であり、現在の文明的ベースをなす欧米文明への警鐘として発生していると考えています。
21世紀は、17世紀以来築き上げた文明的基盤の喪失を通じて新たな文明的な転換を求められる時代であるという認識をもつ必要があります。
3つの事件とその相互関係を考えるのは、とても重要なことだと思います。
3)3.11震災とりわけ原発罹災への思い
原発事故は、その意味で極めてその象徴性が高いと判断できます。それは、産業革命以来、人類が繰り広げてきたCO2排出からの転換の救世主として期待の寄せられた「原発」の存在そのものを問うインパクトがあるからです。
それは、放射線を扱う人智の過信であって、自然を侮る人智への報復であるとも言えると思います。
だからこそ、こういう原発を結果としてその存続と効用を許してきた私たちとは一体なにかということを問わざるを得ないと思うのです。
4)原発事故の由来と行政への過信と責任転嫁
日本共産党のビラをみたら、「科学的な原子力行政」と「安全を最優先にする原子力行政」の転換とありました。いまの原発には「安全総点検」を求めると言う。原子力行政の転換とは、原発推進機関とは独立したアメリカ型の安全機関(NRCの如き)の設置だと言っています。
このような政策は、実際の原発事故の有り様、原発設置をすすめた行政の有り様、JCOの事故報告とその取扱など、現実に原発と向き合ってきた関係者の証言(久米三四郎、高木任三郎)を読めば、所詮真実に背を向け、結局のところ、真実を隠蔽する「戯言」「茶番」としか思えない主張です。
日本の革新政党でさえ、行政への過信と責任転嫁から解放されていないのです。
5)リアリティに裏打ちされた「人智」の再考
この「現実に原発と向き合ってきた」関係者の「証言」に示されるリアリティに裏打ちされた「人智」は、結局のところ原発設計や開発に活かされることなく、福島原発をしてあの無残な行状を「fukushima」として世界に曝け出したのです。つまり福島の惨状は人智のあり方の転換を迫る象徴ではないかと直感しています。
それは、西洋文明の自然観や世界観の視点の転換をせまるもののように思えてなりません。二元論的認識論の世紀的な転換が必要なのだと思います。
6)「代行主義」への徹底的な批判を
もう一つは、「現実と向き合う」人の行為によって取得できる「人智」というものの価値の再評価とは、新たな運動的な視座を与えるものだと思います。
つまり、それを知りうる他者は、「当事者」としての鋭い関与によって得られる真実を常に大切にし、それをともに現実に活かす責任を負うという関係を問うものだと思うからです。
それは、行政と住民、科学者と市民、政党と市民など、「私(わたくし)」を超えて行われる「公共」の場面で問われることだと思います。
協同組合の場合で言えば、理事者と組合員との関係にも端的に表現されるべきことと認識します。
その点で、ローザルクセンブルグのドイツ共産党の前身「スパルタクスブント」の綱領は、「反代行主義」の思想として、学ぶ価値をもつと思っています。そのキーワードは「参加」「関与」「自発性」だからです。
by inmylife-after60
| 2011-04-07 16:23
| 協同組合
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