2011年 04月 20日
香山リカ:「私たちはどう生きていけばいいのか」〜「AERA」2011.4.10号緊急特集より〜 |
「復興の前に個人の感情を一斉に立ち上げる必要はない!」
この特集には27人の著名人が、3.11大震災に遭遇して「私たちはどう生きていけばいいのか」をテーマに語っています。
そのなかで、香山リカさんの以下の文面に心打たれるものを感じました。
写真は、著書「しがみつかない生き方」の表紙です。第7章「子どもにしがみつかない」第9章「生まれた意味を問わない」第10章「〈勝間和代〉を目指さない」は素直に納得しました。
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「ひとがすべてをコントロールし、計画通りに生きようとするのは傲慢である。生かされていることにもっと謙虚にならなければ。被災地を歩きながら、強く思いました。」
「最近、年齢を超えて美しくいようというアンチエイジングに人が群がり、過剰に手に入れたいものを今度は捨て去ろうという「断捨離」が流行る。どう最期を迎えるか、死までを自分らしくデザインしたいと躍起になる。そんなことは全部無意味なことに思えました。」
「避難所では、服もあるし、食べるものもあるし、これ以上いるものはないと言う人が多いことに驚きました。生きていくことに本当に必要なものってこんなにも少ないのですね」
「自分らしく生きなければという現代人の悩みは、大災害の前にあまりにもちっぽけでした。ただ今日を生きている、そのことの奇跡を感じました。」
「いまは、歩みを止めてじっくり哀しみに向き合えばいい。何万人もの人が亡くなり、行方不明になった大震災だからといって、個々の人にとっては、個別の出来事です。」
「被災地のために、なにかしなければいけないと強迫観念に似た思いに駆られ、疲れ切っている人も多い。」
「このままでは日本中が燃え尽き症候群になってしまう。私たちが被災地のためにできる最も大事なことは、あえて「なにもしないこと」なんじゃないかと思います。不安定にならないで、それぞれの持ち場を守りながら、生活を続けること。共倒れになってはいけないし、みんなが一斉にたちあがらなくても、余力をためておけば、もっと後に自分の力が必要となるかもしれない。何かを今すぐ形にしようと意気込んでも、長続きしません」
「でも「どう見られるか」はもういい。体裁や格好は気にせず、自分たちが本当に必要なことは何かに向き合うことが大事なんです。
「生活環境や便利さはすべて失われ、周囲は全部変わってしまった。でも唯一変わっていないのは、自分という人間。その自分が生活のなかで、「こんな状況でもお腹はすくし、食べ物はおいしい」とささやかな希望をみつける。そうして時間をかけてゆっくりと再生していく。人にはそういう強さがあることを、被災地を歩いて改めて感じました。」
by inmylife-after60
| 2011-04-20 12:54
| 読書・学習・資格
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