2012年 09月 16日
2012.9.8FIFA女子U-20決勝戦観戦記 |
9月8日ヤングなでしこが3位決定戦を制して銅メダルを獲得した試合に続き、19時20分キックオフのドイツ対アメリカの優勝決定戦を観戦した。
優勝は予選リーグ戦3-0で勝ったドイツとの予測は覆ることはなく、あえて観戦しなくてもと思ったが、FIFA世界大会の優勝決定戦を観る機会は今後ないだろうと思い、記念に観ておこうという気持ちだった。
日本は予選リーグが異なりドイツやアメリカとの対戦がなく、事前の予備知識もなく、公式練習に現れた両チームのどちらがドイツでどちらがアメリカなのかが分からない状態だった。しかも試合開始の入場行進にピッチに現れたユニフォームが練習のユニフォームとは異なる姿だったこともあり、更に分からなくなってしまった。試合が始まってからやっと白ユニホームがドイツだったのかという始末だった。
試合は、戦前の予想を覆してアメリカが前回覇者ドイツを倒して、優勝を掠める番狂わせの試合となった。ここでは、予選リーグで敗れたアメリカが予選リーグでアメリカを倒していたドイツを破ることができたのかについて考えてみたい。
結論から言えば、ドイツは予選リーグで勝った学習体験をベースに試合をすすめたが、しかしアメリカは、ドイツが日本を破った手法で今度はドイツにかったといえる。
アメリカの勝因は、二つあると思う。ひとつは徹底して攻撃の起点となる相手ボランチを徹底しマークし、複数でボールを自由にさせずに中盤を制したこと、もうひとつは、ドイツのバイタルエリアからのパスルートへの守備を組織的に行い、ドイツのフリーなシュートチャンスを未然に防ぐことができたことであると思う。
アメリカは、少なくとも昨年のドイツFIFA女子ワールドカップにおける日本なでしこととの対戦から学び、その路線を変化させたと言われる。前線へのロングボールのフィードを多用する方法からパスワークとボールキープで中盤を支配し、ブラインドサイドへのキラーパスやクロス攻撃で相手を崩す手法を磨き上げてきたと言う。たしかにそれは間違いないと思うが、それをやるためには、「戦術は、戦略に従う」の謂いの通り、基本思想の抜本変換なくしてできないことだと思っていた。
今回サッカーの試合開始前の公式練習をはじめてみることとなった。退屈しのぎになにげなくその様子をみていたが、そのやり方の違いに気づくや、その有様に釘付けになってしまった。あるチームは、各プレーヤー同志の連携とコミニュケーションをすべての練習にビルドインするやり方だったのに対して、あるチームは、各自の個々の選手が自己完結する手法で自由に自己のテクニックを確認するやり方だったからである。
最初、この対照的な両チームの練習をみて、この試合を制するのは選手間連携を重視するチームが勝つだろうと思った。そのような練習をするのは、ドイツのはずと思っていた。アメリカサッカーは、個々の選手の自由な個性がベースのはずとの先入観もあった。しかし試合がすすむうちにこの認識がまったく逆だったことがわかり愕然としたのである。選手間連携を重視する練習をしていたのは、ドイツではなく、アメリカだったのである。
アメリカの練習は、18名が参加して、右隅のピッチに6×5のマークを置き、コーチの指笛で6名が一列になり、一斉に指定されたドリルをはじめたのである。そのドリルは、実践で起こるトラップやパスなどを想定したステップワークが組み込まれたものだった。次のメニューは、センターサークル側で18名の大きな円陣をつくり、ドリブルとパスでボールを循環させる練習を始めたのである。複数の選手が任意の相手を対象にドリブルしてパスをして、それを任意にうけた選手がまた同じことを繰り返すのである。コーチが練習に全く介在することなく、選手どうしが連携する手法で練習が行われていたのである。
この練習方法が、アメリカ独特の方法なのか、或いはどの国でもおこなわれているものかの検証はまだできていない。またこの判断は、勝敗との因果関係とまったく異なることかもしれない。
しかし、これからのサッカーは、個の才能だけで勝ち進むチームは限られており、タイプの異なるチームと短期間に連戦しながら、覇権を争う世界レベルの選手権では、選手間の連携とコミニュケーションで試合を続けられるチームが勝ち続けるだろうことは明らかだと思うからだ。
それは、日常的な代表チームの練習と組織コンセプトのなかに連携とコミニュケーションがビルトインされていなければ、試合にそして、勝負に勝つことはできない。アメリカのサッカーコーチ指導部は、あきらかにその指向性を転換したのだと思う。
優勝は予選リーグ戦3-0で勝ったドイツとの予測は覆ることはなく、あえて観戦しなくてもと思ったが、FIFA世界大会の優勝決定戦を観る機会は今後ないだろうと思い、記念に観ておこうという気持ちだった。
日本は予選リーグが異なりドイツやアメリカとの対戦がなく、事前の予備知識もなく、公式練習に現れた両チームのどちらがドイツでどちらがアメリカなのかが分からない状態だった。しかも試合開始の入場行進にピッチに現れたユニフォームが練習のユニフォームとは異なる姿だったこともあり、更に分からなくなってしまった。試合が始まってからやっと白ユニホームがドイツだったのかという始末だった。
試合は、戦前の予想を覆してアメリカが前回覇者ドイツを倒して、優勝を掠める番狂わせの試合となった。ここでは、予選リーグで敗れたアメリカが予選リーグでアメリカを倒していたドイツを破ることができたのかについて考えてみたい。
結論から言えば、ドイツは予選リーグで勝った学習体験をベースに試合をすすめたが、しかしアメリカは、ドイツが日本を破った手法で今度はドイツにかったといえる。
アメリカの勝因は、二つあると思う。ひとつは徹底して攻撃の起点となる相手ボランチを徹底しマークし、複数でボールを自由にさせずに中盤を制したこと、もうひとつは、ドイツのバイタルエリアからのパスルートへの守備を組織的に行い、ドイツのフリーなシュートチャンスを未然に防ぐことができたことであると思う。
アメリカは、少なくとも昨年のドイツFIFA女子ワールドカップにおける日本なでしこととの対戦から学び、その路線を変化させたと言われる。前線へのロングボールのフィードを多用する方法からパスワークとボールキープで中盤を支配し、ブラインドサイドへのキラーパスやクロス攻撃で相手を崩す手法を磨き上げてきたと言う。たしかにそれは間違いないと思うが、それをやるためには、「戦術は、戦略に従う」の謂いの通り、基本思想の抜本変換なくしてできないことだと思っていた。
今回サッカーの試合開始前の公式練習をはじめてみることとなった。退屈しのぎになにげなくその様子をみていたが、そのやり方の違いに気づくや、その有様に釘付けになってしまった。あるチームは、各プレーヤー同志の連携とコミニュケーションをすべての練習にビルドインするやり方だったのに対して、あるチームは、各自の個々の選手が自己完結する手法で自由に自己のテクニックを確認するやり方だったからである。
最初、この対照的な両チームの練習をみて、この試合を制するのは選手間連携を重視するチームが勝つだろうと思った。そのような練習をするのは、ドイツのはずと思っていた。アメリカサッカーは、個々の選手の自由な個性がベースのはずとの先入観もあった。しかし試合がすすむうちにこの認識がまったく逆だったことがわかり愕然としたのである。選手間連携を重視する練習をしていたのは、ドイツではなく、アメリカだったのである。
アメリカの練習は、18名が参加して、右隅のピッチに6×5のマークを置き、コーチの指笛で6名が一列になり、一斉に指定されたドリルをはじめたのである。そのドリルは、実践で起こるトラップやパスなどを想定したステップワークが組み込まれたものだった。次のメニューは、センターサークル側で18名の大きな円陣をつくり、ドリブルとパスでボールを循環させる練習を始めたのである。複数の選手が任意の相手を対象にドリブルしてパスをして、それを任意にうけた選手がまた同じことを繰り返すのである。コーチが練習に全く介在することなく、選手どうしが連携する手法で練習が行われていたのである。
この練習方法が、アメリカ独特の方法なのか、或いはどの国でもおこなわれているものかの検証はまだできていない。またこの判断は、勝敗との因果関係とまったく異なることかもしれない。
しかし、これからのサッカーは、個の才能だけで勝ち進むチームは限られており、タイプの異なるチームと短期間に連戦しながら、覇権を争う世界レベルの選手権では、選手間の連携とコミニュケーションで試合を続けられるチームが勝ち続けるだろうことは明らかだと思うからだ。
それは、日常的な代表チームの練習と組織コンセプトのなかに連携とコミニュケーションがビルトインされていなければ、試合にそして、勝負に勝つことはできない。アメリカのサッカーコーチ指導部は、あきらかにその指向性を転換したのだと思う。
by inmylife-after60
| 2012-09-16 22:06
| ラグビー/サッカー観戦記
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