2016年 10月 25日
辺野古訴訟高裁判決を読み解く視点を学ぶ! |
9月16日、福岡高裁那覇支部は、先に前仲井真知事が13年12月に承認した沖縄防衛局申請の辺野古沿岸埋立事業に対して、現翁長知事が15年10月に行った埋立事業の承認取消処分を違法とする旨の判決を行った。
判決要旨を一瞥してこの判決は、裁判官が埋立事業を判断しこれを推進すべきとの判決であり、それはあたかも行政官としての姿であり、高裁判決としてこれまでの常道を逸した判決との印象をぬぐいきれなかった。
ここでは、世界11月号に掲載された「辺野古訴訟で問われる日本の法治主義と地方自治」(岡田政則著)を、この判決を読み解き、是正する視点を学ぶ論評として紹介したい。
判決を読み解く視点は以下の3つである。
1)出発点の齟齬
審理の出発点を、訴訟となった辺野古処分に関する法的根拠(公有水面埋立法)ではなく、辺野古埋立を申請した沖縄防衛局の申請書の瑕疵の有無から審理したことがすべてに起因する。
つまり、今回の訴訟要因が一度承認した処分をその後第三者委員会が違法と判断した取り消し処分であるにも関わらず、その法的根拠からの審議をせずに、行政側の申請書のみからの審議を企てたことにある。
つまり、今回の訴訟要因が一度承認した処分をその後第三者委員会が違法と判断した取り消し処分であるにも関わらず、その法的根拠からの審議をせずに、行政側の申請書のみからの審議を企てたことにある。
2)公益斟酌基準の齟齬
過去の承認処分を取り消しできる判断基準を、該当する法的根拠ではなく、取り消しによる公益と承認継続による公益の加増を斟酌し、取り消しによる公益が継続による公益に優越した場合のみ取り消しが可能との判断を下したことにある。(これを受益的処分という)
つまり地方の公益が政府の公益を凌ぐ程の優越性が認められなければ、一端承認した処分の取り消しはできないという判例となることである。
つまり地方の公益が政府の公益を凌ぐ程の優越性が認められなければ、一端承認した処分の取り消しはできないという判例となることである。
3)真逆の法理援用の齟齬
上記の法理を「受益的処分に関する取消権制限」というが、これは「違法な処分であっても(処分の相手方への打撃を配慮して)取り消してならない」というものであり、通常違法状態でもそのもたらす当事者間の利益を斟酌して、その違法状態を維持する時に使用するものであるという。
重大な齟齬は、国土交通省の今回の「是正の指示」が、違法状態である「処分取り消し」を適法状態に戻せとの「指示」であるにも関わらず、違法状態の維持を目的とする法理を援用していることにある。
ご一読をお勧めする。
重大な齟齬は、国土交通省の今回の「是正の指示」が、違法状態である「処分取り消し」を適法状態に戻せとの「指示」であるにも関わらず、違法状態の維持を目的とする法理を援用していることにある。
ご一読をお勧めする。
by inmylife-after60
| 2016-10-25 10:54
| 政治・外交・反戦
|
Trackback
|
Comments(0)