2018年 01月 26日
Adobe「Indesign」による編集・校正・出版体験記 |
Adobe「Indesign」による編集・校正・出版体験記
私たち「戦後世界史市民ネット」が、2017年4月に実施した大学生を対象にした調査アンケートを分析し、研究者からのコメント付きの調査結果を掲載した報告書をISBN書籍として出版することとなった。12月中旬に編集及び校正コストを圧縮するために、いわゆる「DTP」ソフトを使った完全版下による印刷製本出版として2月15日発行で進めることとなった。
DTPソフトとしてAdobe「Indesign」を使い完全版下を製作すること自体は、これまで3回ほど体験し、前回の調査報告書も同じ印刷所で製作したこともあり、なんとか製作は可能なのではないかと思い決断した。しかし今回は、自主出版とは違い、出版社書籍という形式であることから、これまでとは全く異なる責任関係をもった編集・校正及びレイアウト、装丁となることから、内心とても不安な気持ちを伴う決断であった。
今回体験して「Indesign」によるDTP出版のために、今後どのようなスキルを取得すべきかについて検討するために失敗したことを中心にする体験を記したい。
1)最初のスタート地点について
出版コンテンツそのものは、前回と同様であるが、出版社の書籍としての装丁と見映えが求められることから、これまでのレベルを超えた対応が必要であった。
そのイメージをもっていなかったために、出版が決まった段階で、書店に行き、報告書の装丁及び柱などのレイアウトについて、そのようなデザインとするのかを考えることから始まった。
これまで、仕事で編集した「レポート」を「レジュメ」として束ねた冊子とは異なる報告書の作成を意識しなければならないというそんなレベルがスタート地点であった。
2)失敗(1)〜ページレイアウトイメージの欠如
まず、「柱(はしら)」を棒線だけの単純な装飾にはできないことから、デザインをどうするか、ページデザインと段組はどうするかなどを検討して、各章立てに使うベースとなるマスターページづくりを始めた。しかし当初の設定では、テキストサイズが小さく、尚かつ柱と本文との間が狭すぎるという指摘をうけて、レイアウトグリッド設定を変更しなければならかった。つまり、各ページに関する文字の大きさと天地(ページの上と下)及び柱と本文の間隔に関するスペースに関するイメージができていなかったことによる修正を余儀なくされ、設定修正に関わる作業負荷を招いたことである。
3)失敗(2)〜原稿テキスト設定の標準化の欠如
調査結果のテキスト及び寄稿原稿に関する行間設定と傍点処理などに関するテキストそのものの「原稿整理」を先行処理していないまま、「Indesign」上に流し込ん為に、再度初期テキストの設定を変更しなければならなかった。しかしテキストベースだけにすればいいかといえばそうではなく、そうすると下線、傍点などの修飾設定が活かせないこともあり、これらを保護した標準設定をした上で、「Indesign」に流しこむことが必要であった。それらをしていないためにその都度、原稿設定を変えなければならなかった。とりわけ、行間のオプション設定に関する禁則は、原稿レベルで変更しないと「Indesign」上では出来ないことがわかった。まずは初期原稿(word書式設定)のフラット化を先行させなければならないことを思い知らされた。
4)失敗(3)〜目次と各章タイトル点検の欠如
今回更に思い知らされたことは、目次タイトルと各章タイトルに関する点検が甘く、校了段階での修正を余儀なくされた。「Indesign」では目次設定のメニューがあり、本章で書いたタイトルで目次をつくれるが、あるフォーマットでないとトレースしてくれず、最終的には詳細をオリジナルで作成しなければならない。しかし、三校段階で、目次のテキストが本章のタイトルと違う箇所が少なからずあり、指摘されて初めて気づくという状態であった。自己嫌悪の連続であったが、いか仕方ない。そのレベルの校正しかできないことを認めざるをえなかった。これは能力の問題ではなく、意思の有無であることを明記しなければならないと思った。
今回、当方のこの作業手順の悪さのために印刷所にプルーフ校正ゲラを二度出力頂いたこと、また出版社には校正に関する多大な心労と心配をお掛けする結果となった。ここに改めて付して、お詫びしたいと思います。
次回編集校正する時は、上記の失敗から学び、以下の手順を厳格に履行して編集製作することを肝に銘じたい。
1)原稿整理の徹底〜初期原稿の点検とフラット化
2)総ページを想定したページグリッド設定の設計
3)目次タイトルと各章タイトルの整合性の徹底
を中心に、「Indesign」に流し込む前にページレイアウトに関する設計を明確にした版組をしなければならないことを一番重要なことであることをつくづく思い知った出版体験であった。
by inmylife-after60
| 2018-01-26 18:58
| 読書・学習・資格
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