2018年 02月 11日
辺野古新基地建設はいずれ頓挫する 〜八方塞がりの沖縄防衛局〜 |
辺野古新基地建設はいずれ頓挫する
〜八方塞がりの沖縄防衛局〜
世界3月号特集:「辺野古新基地はつくれない」の一人として、元土木技術士で抗議船の船長を務める北上田剛さんの論考が掲載された。現状の工事の到達点と問題点、そして今後予測される工事の難度と工法不全の全体像を知る上で、同時に11月知事選の争点を明らかにする上で、極めてタイムリーな論文である。
この論考は、以下の3つで構成されている。
1)工事の概要と当初計画との差異そして到達点(現況)
2)現行工事の仲井真知事認可事項との抵触事由状況(問題状況)
3)防衛局の抱える重大な焦燥事項(疎外要因)
である。
1)現況
①護岸総延長の6%(基地建設工事全体に対する割合ではない)
到達点は、すべての護岸工事(大浦湾を埋め立てるための防波堤の基礎工事)総延長の6%の下部工事(基礎捨石と被膜ブロック)が造成された段階という。これでもこの工事で潮流変化と海藻喪失などの影響が著しいという。
②当初と大きく異なる工事順序
現況工事は、K1(南岸)と K9(東岸)の陸地に面した比較的簡単な護岸工事の進捗であり、今後のケーソン(海中に沈める箱型のコンクリート:52m・24m・22m)護岸、二重鋼管矢板式護岸工事と大規模な「岩礁破裂工事」を控えており、工事の「実績」づくりを優先し、県民の「諦め」を誘発することを狙う工事執行をすすめているという。
2)問題状況
現況における工事は、以下の問題を抱えており、仲井真知事との認可条件を無視して、工事が進められているという。
①認可事項を無視した事前許可なしの工事の強行
今後の工事との関係で、最も懸念されることは、沖縄防衛局が、仲井真知事の埋立承認の条件である認可保留事項を全く無視して工事を強行していること。
認可保留事項とは、・実施事項の事前協議・環境保全に関する事前協議・環境保全図書の履行などであったが、現状は知事の認可を得ないまま、工事が進んでいる。
②県への岩礁破裂の強行
埋立区域の岩礁破裂工事を名護漁協の漁業権の放棄(投稿者注:買取買収)に伴い、喪失したとして、県への岩礁破裂申請を行わず、強行していること。
③海上搬送に伴う環境保全図書違反
当初の実施計画では、埋立用石材をダンプによる搬送としたが、座り込みで進捗効率が悪いことから、石材の海上搬送に変更せざるを得なくなった。しかし、奥湾を経由の北側ルートと本部港を経由する南ルートは、もともとジュゴンとウミガメが回遊する海域を回避するとした環境保全図書に違反して行われていること。
④石材の洗浄調査と資料提出の拒否
海域の粉塵汚濁を防止するため海中投下の石材にはある一定の洗浄時間と水量が不可欠であるが、防衛局は「決められていない」として、洗浄工程の立ち入り検査と資料提供を拒む状況にあること。
⑤違法ダンプの放置
不正改造トラックの法令違反に対する是正措置にもかかわらず、違法ダンプによる搬送がやまない状況にあること。
3)疎外要因(八方塞がり状態)
今後の工事との関係で、沖縄防衛局の関わる問題をあぶり出し、基地建設に関わる疎外要因を以下のように提起している。
①活断層の疑いをもつ大浦湾海底地層調査の行方
防衛庁による推定地層断面図にある大浦湾海底部の50m以上の落ち込みは「断層による落ち込み」と記載され、5年以上の海底調査が進められているが、調査結果の公表を頑なに拒否していること。
②ケーソン護岸工事の大幅変更の認可
防衛局は、当初先行する計画であった「ケーソン置き場」の工事を取りやめたという。これは、大浦湾海底部の「厚い琉球石灰岩層」の軟弱な地盤への大掛かりな基礎地盤の改良工事が不可欠とされることが指摘され、このために設計変更が不可避であること。
③美謝川の切り替え工事に伴う暗渠工事の認可
辺野古基地を南北に横断する美謝川を東遷させるため、約1キロの暗渠工事が必要だが、仲井真知事も承認できなかった海と川を回遊する生物を保護できないことへの対策の目処が立たないこと。
④辺野古ダムからのベルトコンベアによる埋立土砂搬送の認可
大浦湾の埋立には、辺野古ダム周辺の土砂をベルトコンベアで搬送する計画であったが、地元の賛同をえることができず、トラックによる搬送に変更しようとした。しかし仲井真の知事も1日600台弱のトラックが通過する試算を許可できず、取り下げされたこと。
⑤辺野古漁港周辺の作業区域の確保の認可
辺野古漁港周辺の作業計画が進んでおらず、防衛局も申請をとり下げた。
⑥埋立土砂の特定外来物駆除の認可
辺野古ダムからの土砂搬送だけでは足りず、沖縄と西日本からの「岩ズリ(破砕された岩石)」の搬入が計画されている。防衛局は、高温殺菌による処置の実験を開始したというが、大量の岩ズリに対する高温殺菌に費用と時間を要し、特定外来生物が発見された場合、全て中止さざるを得ないという。
北上田剛さんは、「工事が自動的に頓挫するのではない。」その意味で、ゲート前、海上阻止・監視活動が不可欠であるという。
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この論考を読んで、ますます、辺野古基地は一体誰のために何のための基地なのかと思う。普天間の代替基地として、何故5倍の面積と200年の耐用年数をもち、海兵隊の兵器と兵員を運ぶ強襲揚陸艦が接岸できる271mをもつ接岸施設が必要なのかが全くわからない。つまりこれは、アメリカの世界支配のために海兵隊のために作られる基地であると言わざるを得ない。
by inmylife-after60
| 2018-02-11 20:17
| 政治・外交・反戦
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