2018年 08月 30日
アリババ「滴滴出行」乗客女性殺人事件報道について |
アリババ「滴滴出行」乗客女性殺人事件報道について
日本では、28日から上記タクシー配車サービス「滴滴出行」を利用した女性が今年5月女性客室乗務員に続き、8月24日に温州で20歳の幼稚園女性教師(趙さん)が殺害されたことに関して、政府行政によるアリババに対する行政指導として、「滴滴順風車」(相乗りサービス)を停止したとの報道がなされはじめた。
今回の事件の概要は中国ネット情報によれば、以下の通りです。
8月24日13時、趙さんは友人のバースディパーティに参加するために滴滴に乗車。
(行き先は、通常の運転では、高速(G15 )を利用すれば40分程、一般道(104国道)で2時間程の行程と言われる。運転手は一般道を走った。)
14時09分、趙さんは友人に「恐い。運転手は山を走り、走る車が他に見当たらない」と告げ、14分に助けてとのメールがあったと言う。15時42分、友人の朱さんは、このメールをみて、1時間に7回、滴滴に通報し、対処を求めたが、いつも「暫くお待ち下さい。貴方の通報に至急対応する」との返答であった。16時22分、朱さんは、到着先である「永嘉」警察に通報し、17時35分、趙さんの親族は、出発地である「楽清」警察に通報したという。
17時42分、友人の朱さんは、滴滴に運転手に関する情報を求めたが、拒否されたが、18時13分、滴滴は警察に車両及び運転手の情報を提供し、翌25日午前4時犯人逮捕し、強姦と殺害を自供したと言う。
この事件に関する「今日頭条」掲載の温州市公安部の発表を以下参照ください。
この発表には経緯に関する詳細な捜査情報を丁寧に説明し、被害家族の警察への要請とともに、ネット市民には流言蜚語を流す者への警告を発し、市民の警察への不信がアリババへの不信から更に増幅されることへの懸念が語られています。
この事件を理解するうえで以下の背景及び中国事情をみておくことが不可欠かと思う。
まず乗車サービスがどのように実施されるのかを紹介する。
路上でタクシーが必要であれば、サービスアプリを立ち上げ、配車をリクエストする。すると地図画面上に、配車可能車が点滅し、一番近くの車を見つけて電話し、予約が成立すれば、当方の待機地点を告げ、相手の配車車体のカラーなど特徴とナンバーを聴き、その車を待機地点で待つというものである。
また中国のタクシー運行と決済など一般的な環境を以下5点紹介する。
1)アリババの「滴滴出行」の運転手はサイドビジネスを含む非専業車による乗車サービスというビジネスモデルであり、運転手のモラルに左右されること。
2)アリババの「滴滴出行(乗り合いサービス)」はタクシー配車の寡占的シエアをもち、一般タクシーの料金体系、追加料金などに対して不満が強いこと。
3)中国では、一般に流しのタクシーによる乗り合いはどこでもあり、合法サービスとして普及して、アリババのみのサービスではない。
4)タクシー乗車代金の決済は「滴滴出行」のアプリ上で決済(支付宝)され、運転手との代金決済はない。
5)小売り支払いは現金決済ではなく、微信や支付宝で決済され、スマフォの決済は通信環境が悪いと決済できない場合がある。
今回の事件とその行政対応について、私の見解を述べたい。
1)トラブル発生に関する滴滴の対応は信じがたい。乗客が配車可能サービス車を発見できるように、滴滴は各エリアでの運行状況を把握しており、トラブル処理はダイレクトに運転手との連絡は可能なはずである。
従って、何故24日午後3時段階で友人からの問い合わせに対応出来なかったことが理解できない。
運行管理とトラブル対応ができていなかったと思われる。中国の職員は命令されたこと以外はやらないことが多いので一層対処が遅れたのではないかと思う。
2)警察のトラブル対応の要請に対して、滴滴側が紹介状と鑑札を要求したということに驚きを感ずる。
民事不介入とはいえ、生命事案の処理に対する企業や一般職員の警察の関与への拒否感というものがあるのかもしれない。
行政と公安は一体となり、行政の不公正に対する運動への弾圧などがあり、行政と公安への不信が抜きがたい状況にあるのかもしれない。
3)今回の問題は、乗り合いサービスの停止で解決できない。この事案は、乗り合い事例でもなく、乗り合い状態であれば、このような強請強盗事件は起きない。
運転手の営業運転免許制度および素養・サービスマナー教育など、運転手教育の問題である。営業免許制度とその運用管理に関する抜本的な改革がなければ、再発の恐れは免れえないと思う。
今回の犯人は賭博常習者で約20万元(320万円)の借金があったとの妻の証言を聞き、それは強盗を誘発する要因になることは自明であると思った。
4)一方で、この事件でこの乗り合いサービスが減少することはないと思う。
便利であり、安価であり、合理的だからだ。このサービスは絶対なくならない。アリババの規制はあってもこのサービスを規制すべきではなく、発展させる方法について研究し、このような事件で発生するプロセスを時間軸で想定した対処に関する、例えば乗客側の非常アラームの発信ボタンの設置、配車サービス会社におけるエマージンシー管理と対処、現地警察との連携など、営業運行の安全・安心に関する規制と改革を実施してほしいと思う。
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今日頭条」掲載記事 2018-08-26 19:36
楽清滴滴乗車サービス運転手による殺人事件の発生は各界の大きな関心を呼んでいる
本日事情通によれば、警察は被害遺族に対して、事案の調査進展状況を報告した。それによれば、趙さん(被害者)は、微信で助けを求めたが、被疑者の監視下におかれて、被疑者は、最初所持金を渡すように要求、現金を殆ど所持していないとわかると微信による口座移動を要求したという。
“山中は電波が悪く、微信による口座移動は成功せず、被疑者は再び趙さんを乗せ山路を降りた。”事情通によれば、その後、被疑者は趙さん口座から9000元(15万弱)余りを移動した。被疑者は口座移動に成功したあと、趙さんを放さず、引き続き山中に連れ出して殺害し、その後遺体を淡溪石角龙村附近の盘山公路の崖から投げ捨てた。事情通の上記の情報は、警察よる検証はまだなされていない。
温州警察は、仔細情報として、最初の2回に渡る「滴滴」への車両情報に関する問い合わせへの回答がなされなかったと発表した。
26日早朝警察が、乐清で発生した“滴滴順風车”(滴滴タクシー)運転手による殺人事件の詳細情報を発表した。
詳細は以下の通り。温州警察は、一部のネット民の警察のこの案件に関する犯人検挙捜査に関する疑念を非常に重視し、直ち人員を割り当て捜査するとした。
発表全文:(発表全文)
8月24日16時22分、被害者の永嘉(地名)の友人朱さんから永嘉県上塘派出所に通報があり、友人趙さんが13時頃楽清(地名)からタクシーに乗車し、永嘉上塘に向かう間に趙さんから電話が繋がらずしかも永嘉に到着していないとの通報を受けた。同時に朱さんによれば、滴滴オペレータサービスから1時間以内に返事をすると聞いたと言う。警察は、直ちに公安情報により、趙さんの消息を問い合わせ、趙さんの携帯番号を確認の上、携帯キャリアに通知した。
16時41分頃、当該警察は朱さんの携帯電話から滴滴オペサービスに連絡し、警察の身分を明らかにしてオペサービスに対して、趙さんの乗車したタクシーの所有者並びに車両に関する情報、滴滴の安全専門家機関の介入などの回答状況の連絡を要求した。
17時13分頃、滴滴オペサービスは、当該警察に対して、13時に趙さんから予約があったが、14時10分に予約が取り消され、乗車していないとのフィードバックがあった。警察は、乗車後に途中キャンセルの可能性を資し、また再度タクシー運転手の登録番号と車体の登録番号の連絡を要求したが、まだ回答がない。
17時32分,届け人の朱さんは、警察に対して状況を反映させるために、別の友人
が微信で趙さんからの救命メールを知らせ、警察は直ぐに朱さんの携帯を通じて趙さんの実家と連絡をとり、親族からすでに楽清派出所に届け出ていることを知り、楽清の当地派出所と連絡をとり、派出所が現地警察と連携して、合同捜査する手配をした。
17時44分頃、楽清警察による捜査が確定した段階で、朱さんは上塘派出所を立ち去っている。捜査の経過を辿れば、当日16時22分の前の段階では、永嘉、楽清の警察はまだこの案件に関する通報と来訪を受けておらず、ネット上の「親友が女性からの救命を受けて警察に通報したが、警察は車両番号も運転手の登録電話がなく立件しない。」という事は、公安当局の捜査上には実在しない。
当日17時30分、被害者親族は、女性の行方不明を楽清虹橋派出所に通報し、一応の了解を得て、17時36分警察電話で滴滴オペサービスに連絡し、オペサービスは、3〜4時後に調査結果を提供すると説明し、警察は緊急な事情を示し、滴滴は同意し、火急の処理をする旨同意した。
17時49分、滴滴は折り返しの電話で、紹介状と両名の警察証明書を必要とし、その後、18時04分、メールにて滴滴に送付した。18時13分、楽清警察は滴滴からの車両番号(「川A31J0Z」)と運転手情報を受け取った。
楽清市公安当局は、直ちに重大案件として事件処理態勢、すなわち刑事捜査と刑事技術、関連派出所等の警察のもつ専門性による全方位捜査とともに温州市の支持を要請した。
滴滴の種(氏名)某運転手による重大嫌疑案件に鑑み、市と県両級公安機関は、直ちに犯罪嫌疑者の捜査を展開し、合同作戦を経て、25日早朝4時頃、柳市镇にて種某容疑者を捕縛し、25日午前9時、永嘉县峙口村にて川A31J0Zの車両を確保した。
嫌疑者の供述によれば、8月24日、14時50分頃、犯罪容疑者種某は、被害者を淡溪镇杨林线山路まで連れだし、被害者趙さんを強姦し、匕首で頸部を刺し、大量出血に至り、その後、被害者をガードレール外の崖に投棄し、現場を車で逃走した。初めの司法鑑定によれば、死因は、右頸部動脈切断による大量出血である。
目下事件はさらに捜査の只中にあり、この事案の重大さに鑑み、検察機関は介入を前提に捜査内偵中である。警察は趙さんの遭遇した不幸に深く哀悼を表するとともに、この件で市民に対して、乗り合いタクシーなど類似する交通機関に乗る時には、親しい友人に乗車したナンバープレートと運転手氏名などの情報を知らせるよう注意を呼びかけた。当事者である親族は、これに類似する問題に対して、当該所轄公安機関への迅速な通報による公安機関の初動行動をとるよう要請した。また警察は広くネット民に対して流言蜚語、悪意の作り話、流言者を公安機関による処罰がある旨を警告した。
温州市公安局
2018年8月25日
by inmylife-after60
| 2018-08-30 18:59
| 中国語
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