2018年 11月 04日
米軍に日本の軍事基地の空域管制の法的根拠はない! |
米軍に横田と岩国、嘉手納空域管制の国内法の根拠はない!〜「知ってはいけない隠された日本の支配構造(講談社現代新書)P30~
日本にはすでにご存じのように、横田、岩国、嘉手納の軍事基地をもつ空域の航空機の管制権を持てず、米軍の排他的管制権のもとに置かれ、この空域の使用は米軍管制部への許可制が採用されているために自由に飛行することができず、東京五輪での来日客訪日需要対策として、この一部空域の自由使用が要望されていました。
当初、米軍はこの空域の使用は認めないとしていましたが、本日(11月4日)読売新聞があたかも横田空域の管制を日本側に移行する旨で合意したとの以下の記事を掲載しましました。
この記事については以下の点から重大な問題点を覆い隠すものであり、今後の対応について注視すべき点が少なくありません。
1)米軍に管制権に関する法的根拠がないこと。まず、米軍による横田を含む岩国、嘉手納空域(空域をラプコンという)の管制権に関する法的根拠は一切ありません。
これは、以下の合意による暫定運用下にあるということです。
「52年6月合意:「一時的な措置として、我が国の自主的な実施が可能となるまでの間、日米間の意見の一致を見た時に、日本側が航空交通管制に関する全責任を負うことして、米軍は軍の施設で行う管制業務を利用して、民間航空の安全を確保する」ことが定められた。」「空の主権回復」は条件付きだったのである。」
2)日米地位協定には、航空法の適用除外の規定はないこと。
つまり、現在のこの52年6月合意に基づき、航空法特例法の6章規定(離着陸する場所、飛行禁止区域、最低高度、制限速度、飛行計画の速報と承認)から米軍機と国連軍機を適用除外としています。
またそもそも地位協定には米軍に区域管制を有する旨の規定はありません。
以下の記事で何故地位協定に基づき運用を協議するとしているのか不明です。
3)沖縄嘉手納空域はどのように運用されているのか
沖縄返還に伴い嘉手納区域に関する管制権は2010年に返還されてたはずですが、米軍軍用機が安全な角度で離発着できるように那覇空港30キロ以上前から300メートル以内の低空飛行を強要されています。それはどのように変更されたかを知ることが必要です。
①新たに巨大な米軍優先空域(アライバルセンター=着陸空域)が設定され、この空域下限が300メートルに設定され、300メートル以上の上空を飛行できないためです。
②嘉手納空域には、嘉手納基地と普天間基地、那覇空港の3つのがあり嘉手納基地にて3つの飛行場の進入管制を行っていましたが、2010年返還に伴い、進入管制を那覇空港に移行していました。これに伴い、何がおこったかといえば、那覇空港の進入管制に米側管制官(退役軍人)が派遣され、米軍機優先の進入管制業務を以前と同様に行いました。
4)横田空域の管制権について
以下の記事では横田空域内を通過する一部旅客機の管制を日本側が行うとの合意としていますが、進入管制をどこで行い、だれが行うのかは定かではありません。嘉手納空域の運用をみれば、羽田に進入管制をおき、そこに横田管制官が配備されることが予測され、このような運用が現実的に可能なのかが問われることになります。
5)問題は進入管制の問題ではなく、空域の問題です。
以上見てきたようにそもそも米軍の航空機の空域を優先し、いつでもどこで日本国内の空域を通過する米軍の飛行できる国内法規上の根拠が問われているのであり、横田をはじめ岩国及び嘉手納空域の日本への返還が求められています。
以上
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読売新聞Online:2018年11月4日 11時15分
横田空域の管制権、一部日本移譲…米軍と合意へ 米軍横田基地(東京都福生市など)が管制権を持つ横田空域について、日本政府と米軍が、空域を通る一部旅客機の管制を日本側が行うことで合意する見通しとなった。2020年東京五輪・パラリンピックまでの実現を目指す。 これにより、羽田空港に着陸する新ルート運用のめどが立った。月内にも日米地位協定の運用を協議する日米合同委員会を開き、合意内容を確認する。 日本側にとっては、東京五輪に向けて羽田空港の国際線発着枠を広げるうえで、横田空域が障害となっていた。米軍が管制権を掌握しており、旅客機を自由に飛ばせないためだ。政府は合意が得られれば、大会期間中の20年夏までに発着枠を拡大したい考えだ。
東京五輪では訪日客の増加が見込まれ、国土交通省は、羽田空港の国際線の年間発着回数(昼時間帯)を現在の6万回から9・9万回に増やす計画だ。それに合わせ、旅客機が東京湾上を通るルートに加え、都心上空を通る新ルート案をまとめた。
新ルート案は国際線の発着が集中する夕方の約4時間、南風の場合は都心上空を通る。使用する滑走路や天候などによって旅客機が横田空域に数分間入るため、日米合同委員会が管制のあり方を協議してきた。
米軍側は旅客機の通過を認める一方で、管制の混乱防止を理由に「米軍が引き続き管制を担うべきだ」と主張してきた。日本側は「旅客機の円滑な着陸のため、日本側による管制が必要だ」と訴えていた。
by inmylife-after60
| 2018-11-04 21:06
| 政治・外交・反戦
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