2019年 12月 27日
南京・北京・天津訪問記 |
南京北京天津訪問記(2019年12月12日〜19日)
今回の訪問は、本年3月下旬から4月上旬にかけて、旧満州史跡ツアーに参加した友人から、機会があれば、南京に行きたいとの要望をうけて、企画された。基本企画として、南京大虐殺が始まった12月13日に南京を訪問し、慰霊行事に参加すること、また南京に開設された慰安婦陳列館を訪問することをメインに計画し、同時に北京蘆構橋の抗日戦争祈念館を訪問し、合わせて北京に近い天津にある、現在大きな社会的関心が寄せられている徴用工に関する記念館を訪問することを意図して、12月12日出発19日帰国の8日間の日程で企画された。
今回は、大学時代の友人と私の4名のツアーである。事前の情報交換を兼ねて、11月21日に新宿で結団式を行い、団長と会計係、記憶係を決め、会計係には、共通プール金(1人当たり3万円)の管理をお願いし、旅程の提案と各参加者からの要望などを受けて、訪問先ルートなどを設定した。
今回のツアー訪問に当たり、南京に関する参観につき、南京市外事(国際交流)事務所の孫曼さんに特段の便宜を図って頂いた。ここに記して感謝したい。
また今回の中国各地訪問体験で痛感した中国のIT技術の急速な進展を目の当たりにして、今後の中国訪問に関する事前準備と対策をしかるべく行う必要性について冒頭に記しておきたい。
1)交通カードについて
中国各地の公共交通機関(バス、地下鉄など)は、各都市の発行する交通カードで現金を使うことなくカードで乗車することができた。しかし、今回訪問した南京や北京では、改札にこれまでの交通カードだけでなく、アプリをロードした個人のスマフォ決裁装備が追加されており、市民の多くはスマフォ決裁で改札を通過していた。
もう一つの変化は、各都市で発行していた交通カードが、全国各都市で共通して使える仕様のカード(「交通連合」カード)に発展し、今回南京でこのカードを買うことができ、北京で使うことができた。
しかし、このカードが何処で買えて、何処でデポジットを回収できるのかの案内がないために、各到着地で自在に活用できる状況ではないことがわかった。天津でこのカードにチャージしたいとお願いしたが、出来なかった。
小グループでの公共交通機関による移動にはとてもカード決済は便利であったが、この交通連合カードがどのように整備されるのかを注目したい。
2)現金決済について
今回初めて、南京鼓楼「北極閣」付近の食堂で待機のためレストランで喫茶を利用したが、ここで現金決済はできないと言われ、私のスマフォ決裁で支払いをした。
今回の決裁は、何処まで普遍的なのかは不明だが、事前に「現金支払い」が可能かどうかを確認しないと安心して利用できないことがわかった。
いずれにせよ、レストランや食堂、屋台などで現金(釣り銭)を準備する煩雑さを回避する方法として、スマフォ決裁は必然的であると感じた。
3)タクシー捕捉について
今回、到着地最寄り駅からホテル、はじめていく訪問地などをタクシーを多用した。
新幹線駅タクシーターミナルでのタクシー捕捉は時間が解決してくれるが、そうでない場合は、タクシーをタイミング良く捕捉することが難しい。
今回は、5分以上待ってタクシーが来ない場合は、公共交通機関を使うという判断で対応し、なんとか確保することができたが、今後の変化を予測し、タクシー捕捉を携帯スマフォで行うことを前提にスマフォ操作と言語対応に習熟することが不可欠だと痛感した。
4)新幹線実券切符について
日本から予約した新幹線は、中国国内で実券を発券する手続きが発生する。案内では、新幹線駅と中国旅行代理店での引換とあり、今回初めて南京「大行宮」駅側の代理店で実券発行の手続きを行うとしたが、外国人への実券発券ができないと言われた。
これまで何回か、代理店で実券を発券してくれたことがあり、これはとても意外であった。旅行代理店の制約について確認することが不可欠だと感じた。
また天津では、北京に帰る切符を窓口で購入した際に発券された切符はこれまでのいわゆる「切符」ではなく、「レシート券」であった。今後このようなレシート形式の「切符」になるのではないかと思った。
また今回のツアーで失敗したことについて記しておきたい。今後の旅程設計と対応について対策を講ずるためである。
1)万里長城(八達嶺)について
当初長城は、16日(月)午前に訪問する予定であった。しかしその日は雪に見舞われ、長距離バスターミナルである「積水潭」で、高速道路が凍結のため不通との案内が見つけ、急遽頤和園へ、午後は天壇公園に訪問先を変更した。八達嶺は17日(火)に変更することとした。
しかし、翌日午前の予定は、事前予約が必須となった北京故宮訪問が入っており、午後以外に時間がなく、故宮訪問のあとに八達嶺にいくしかないと判断した。故宮訪問のあと、地下鉄で「積水潭」駅に行き、八達嶺に向かおうしたが、八達嶺行き直通バスは、12時30分で終了したとのこと、どうすべきか動揺が走った。当初の設定として12時30分が最終ということを承知の上で、午前の予定にしていたことをすっかり忘れてしまい、「積水潭」駅にきてしまったことに気がついた。全くの不覚であった。しかたなく、白タクに800元+高速代(50元)を払う羽目になってしまった。
2)故宮参観について
北京故宮は、以前参観した時の参観方法とルートが大きく変わっていた。まず参観には事前予約が必要であり、日本からの予約に1人当たり40元(660円)が必要となった。当日予約なして参観できない場合を想定して予約した。中国の観光施設は、60歳以上は半額、70歳以上は無料という所が多いが、故宮は、事前予約制に伴い、この優遇措置は事実上廃棄されたに等しいと感じた。
同時に、故宮への入場口と退出口が決まっており、その順路に従う以外は自由に出入りできないことになっていた。以前は、天安門と故宮を自由に往来でき、故宮からの出入りももっと自由にできたたずだと。
また天安門広場側にいくにしても、安全検査を受けないと、入場できない状態になっていた。当初2時間と想定していたが、故宮と天安門前、天安門広場で参観時間が3時間ほど要してしまった。
天候による予定変更は日程的に仕方がない側面はあるが、故宮と八達嶺を一日で行くのは、やはり無謀であった。
3)天津「労工紀念館」について
今回はじめて、北京から天津にある花岡事件など中国人徴用工の和解で鹿島建設から拠出された5億円の資金の一部で建てられた「労工紀念館」を参観した。天津駅からタクシーで郊外にある「紀念館」の守衛門で参観したい旨を告げると、紹介状をもっているか、予約しているのかなどを尋ねられた。事前に労工紀念館に関する情報を取得していたが、事前の予約についての記述がなかったために、直接訪問することにしていた。
守衛さんに日本からきた。今日この紀念館を参観するために北京からきた。明日日本に帰るため、今日是非参観したいとお願いし、館内の紀念館職員に連絡して頂き、急遽参観することができた。職員から紀念館パンフと15年9月製作DVDを頂いた。感謝したい。今後参観したい場合に関してどのようにするかについて検討しなければならない。
以下旅程順に紹介する。
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第一日目:12月12日(木)
成田11時集合、東方航空13時定刻出発、一路南京に向かう。南京は一時間遅れの16時20分過ぎに到着した。「禄口空港」駅で「交通連合」の交通カードを購入し、地下鉄で「新街口」駅に向かう。ほぼ1時間20分程かかった。改札から14番出口を出て、3分程で南京新街口苏宁诺富特酒店にチェックインした。保証金1000元を支払う。6時を過ぎていることから、当初夫子廟で夕食をとる予定であったが、ホテル周辺の食堂で済ますことになり、周辺を散策して、飲み放題食べ放題のセルフ方式の食堂を発見し、そこでとることにした。4人で272元(4540円)であった。
第二日目:12月13日(金)
8時フロントを出発し、地下鉄で珠江路にある南京市の国際安全区の責任者であるジョンラーベ記念館に向かう。記念館は南京大学の敷地内に独立して建てられたものであり、彼の私邸を記念館としたものである。
参観後に南京大学を散策し、南京大虐殺の追悼会場である「鼓楼」駅近くにある北極楼公園内の追悼碑会場に向かう。10時開会と聞き、9時50分に会場につくと、まだ一般参加者は入れない、10時半から献花できると告げられた。付近の食堂で喫茶して待機し、追悼会場に向かった。
会場に入ると、南京日報の記者たちが、日本からきた私たちを見つけて、取材された。しかし、このような取材を想定していなかったため、私の語学レベルでは、旨く表現できなかった。事前に表明できる文言を準備しておけば良かったと後悔した。
その後、北極楼からタクシーで下関の中山埠頭にある追悼碑に向かう。この中山埠頭は、日本テレビが以前放映した所であり、日本軍によって捕虜として捕縛した国民党軍12000人ほどを二度にわたり、機関銃の一斉掃射により殺戮し、揚子江に遺体を投棄した現場である。
下関からタクシーで明孝陵、中山陵(昼食)、美齢宮などのある紫金山公園に向かう。その後夫子廟にある江南貢院に向かい、夫子廟内のレストランで夕食をとり、ホテルに帰る。
第3日目:12月14日
8時出発、地下鉄で南京大虐殺館のある「雲錦路」駅に向かう。約2ヶ月間休館し、展示を新装した祈念館には沢山の参加者に溢れていた。祈念館5号門には王さんが迎えてきており、祈念館に入ることができた。
祈念館は、私が2018年12月に参観した時と大きく変化しており、全ての展示記載が日本語で書かれており、一次史料の解説、マギーの8ミリフイルムの放映展示などがあり、とても説得力のある展示になっていると感じた。その後タクシーで「大行宮」駅そばの利済巷にある慰安婦陳列館に向かう。孫曼さんが迎えにきており、陳列館前のレストランで昼食を頂いた。南京の地元料理を堪能した。その後孫曼さんが慰安婦陳列館の展示を詳細に解説頂いた。
その後、総統府、南京博物院を参観し、新街口15番出口にある「大洋百貨」のレストラン街で食事しホテルに帰った。
第4日目:12月15日
南京から北京への移動日。8時過ぎの新幹線で北京に向かう。11時40分に到着。北京南駅地下のタクシーターミナルから故宮東側にある「北京华育宾馆」に向かう。ホテルの向かうタクシーの運転手にホテル到着後に蘆構橋にある抗日戦争記念館にいく予約をし、2時頃にホテルを発ち、蘆構橋まで45分程で到着した。蘆構橋を往復し、抗日戦争記念を見学し、岐路はバスで北京西駅に向かい、駅前の食堂で夕食をとり、ホテルに帰る。
第5日目:12月16日
この日は朝から雪。八達嶺行きの長距離バスターミナルのある「積水潭」駅に向かう。ターミナルには、高速道路の凍結などで運休の案内があり、今日は断念、明日に延期し、地下鉄で頤和園に向かう。雪景色の頤和園を参観した。
天壇公園北門からバスで王府井北に向かい散策した。以前北側にあった王府井小吃街が閉鎖されていたので、付近の商店でどこに移ったのかと尋ねて、教えてもらったが、それらしい小吃街が見当たらず、当初の計画通り、北京ダックの専門店「全聚徳」本店に向かった。
前日、予約の電話をしたところ、予約は必要ない、直接来て下さいとのことだった。4階の大広間に案内されたが、6時過ぎでも空き席がほとんどだった。テーブル係の婦人から、2人前セットの北京ダックコース520元(8600円)で充分だと言うので、それを頼んだ。4人で十分な量であり、しかもこれまで食べたなかで一番美味しかった。ビールと紹興酒を頼み、4人で833元(13750円)だった。バスでホテルに戻る。
第6日目:12月17日
今日は事前に日本から予約していた北京故宮に向かう。パスポートを渡すと番号が入力され、参観券が発行されるという仕組みらしい。殆ど並ばずに入場できた。故宮は以前は館内を参観できた記憶があるが、今は、入館できない。唯一できるのは「午門」と「角楼」であり、ここで故宮に関連する展示を見学することができた。天安門も以前は入館できたが、今回天安門には直接行くことができずに、広場側から展望するだけになってしました。故宮参観に関する情報について事前に詳細を調べておくべきだったと反省した。
その後明日の八達嶺行のバスに関する情報を取得するために、前門鼓楼周辺で八達嶺行などのバス発券所を発見し、バスがあるかどうかを確認したが、前日予約が必要と言われて、今日の便は終了したとのこと。八達嶺往復食事付きで1人120元との案内があった。前門近くで食事後、自由行動を一時間程とり、琉璃街で書道関係などのお土産を買った。
1時過ぎに「積水潭」駅に向かう。前述の通り、2時過ぎに白タクで八達嶺に向かう。1時間程で着く。タクシーで降された場所から長距離バスのターミナル側にあるチケット売り場迄30分程歩く。やっと辿りついたチケット売り場の窓口が閉まっており、窓を敲くと、職員から「下班了!(もう退勤した)」と言われて、絶句した。これはもしかすると今日は入場できないのかも知れないと愕然とする。不安を抱えながら、登城口に向かう。そこのチケット売り場は、まだ発券していることが分かり、安堵した。そこから、八達嶺の登城口まで20分程かかった。漸く4時少し前に(女坂)」「の登攀を開始し、5時過ぎに下山し、タクシーでホテル付近に帰り、近くの食堂で夕食し、ホテルに帰る。
第7日目:12月18日
今日は、天津への一日旅行日。7時45分ホテル出発、新幹線で北京南駅から天津駅に
向かう。天津駅ターミナルからタクシーで労工紀念館に向かう。ここは撮影禁止だった。労工紀念館に関する展示内容(翻訳)を以下のURLを参照下さい。
1時間程見学し、紀念館の最寄りの地下鉄駅まで30分程歩き、中心街の「営口道」駅に向かう。伊勢丹のフードコートで昼食後、清朝皇帝溥儀が故宮から追放された後に住んでいた故居である「静園」に歩いて向かう。「静園」は、土肥原特務機関が傀儡国家「満州国」樹立に溥儀を利用した会談の内容、溥儀が満州国に赴くことに納得でき離婚を申請した「后革命」の逸話などが紹介されており、とても興味深い展示が充実していた。
その後、周恩来記念館を訪問した。
そこから市内中心部の「玉皇閣」周辺から市内の遊覧バスにのろうとしたが、停留所がわからず、断念し、三輪タクシーで天津駅に向かい、新幹線で北京南駅に帰京し、ホテル周辺で食事し、ホテルに帰る。
第8日目;12月19日
今日は帰国日。上海でトランジットし、成田に向かう。地下鉄を乗り継いで北京首都空港に向かう。10時30分頃に指定チェックインカウンターで待機していたら、ありがたいことに東方航空職員が開始時刻30分前にも関わらず、チェックインを始めてくれた。案内された「90番」搭乗口はスタッフオンリーとあったが、そこが搭乗口だと言われて、入念な検査を受けて、待合室に入った。
しかしそこはとても狭く、トイレと自販機だけの待合室であった。出発まで2時間をここで過ごすのは耐え難いと思い、職員に日本に帰るのでお土産を買いたい、お店のある場所まで戻りたいと申し出て、一端退出する許可を頂いた。
つまりこの90番ゲートはまだ中国国内であり、越境は上海であることを漸く理解できた。やっと自由に買い物ができ、レストランで歓談しながら、共通プール金の最終決算と最終処分を行うこととなった。
成田には、予定より15分早く、8時40分頃到着し現地解散した。
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【記録係報告】南京・北京・天津の旅(かっこ内は歩数)
1日目 12月12日(木)
11時 成田空港集合
13時30分 成田発・南京空港着
16時30分 南京禄口空港着
18時 新街口駅着・蘇寧諾富特酒店 (南京市秦淮区淮海路)宿泊
2日目 12月13日(金)〈歩数:24,100歩〉
9時15分 国際安全区責任者ラーべ故居を見学。
南京大学キャンパスを散策。
10時30分 南京大虐殺慰霊祭(会場:鼓楼北極楼)に参列。
12時30分 南京城挹江門付近下関の長江河畔中山埠頭慰霊碑。
(中国軍撤退兵や市民の惨劇地)を見学。付近の長江沿岸を散策。
13時30分 明考陵を見学。
14時30分 美齢宮を見学。
15時20分 中山陵を見学。
16時30分 江南坑貢院(科挙博物院)を見学。
3日目 12月14日(土)〈歩数:13,900歩〉
08時45分 侵華日軍南京大屠殺遭難同胞記念館を見学。
11時40分 外事辨公室・孫曼さんと会食。
13時30分 南京利済巷慰安所旧址陳列館を見学。
15時30分 南京博物院を見学。
4日目 12月15日(日)〈歩数:13,800歩〉
8時13分 新幹線で南京南駅→北京南駅へ
13時30分華育賓館(北京市東城区沙灘後街)宿泊
14時30分 中国人民抗日戦争記念館、永定河・盧溝橋(マルコポーロ橋)周辺を見学。
5日目 12月16日(月)〈歩数:32,700歩〉
11時40分 頤和園を散策。
14時10分 天壇公園を散策。
17時 王府井を散策。
6日目 12月17日(火)〜〈歩数32,000歩〉
09時10分 紫禁城故宮を見学。
12時40分 天安門を見学。
15時 万里長城八達嶺(女坂)を踏破。帰途中長嶺門を訪問
7日目 12月18日〜〈歩数:21,900歩〉
9時4分 北京南駅→天津駅着
10時20分 在日殉難烈士労工記念館(花岡暴動記念園)を見学。
14時10分 静園(清国・「満州国」皇帝溥儀旧居)を見学。
15時30分 周恩来鄧穎超記念館を見学。日本租界を散策。
18時55分 天津駅発→北京南駅着
8日目 12月19日(木)
13時00分 北京首都空港発
17時05分 上海浦東空港発
20時45分 成田空港着
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【会計係報告】1人当たり費用概算
航空券:40400円
宿泊費:21330円
新幹線費:9825円
市内交通費:6200円
食費:14867円
参観費:1951円
雑費:83円
個人消費お土産:8250円
総計:102906円
by inmylife-after60
| 2019-12-27 19:40
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