2020年 03月 28日
武漢市コロナウイルス感染死者数への疑惑 |
武漢市コロナウイルス肺炎死者数への疑惑
武漢市は、23日から封鎖を一部解除し、社区行政機関の発行する健康証明があれば、省外への移動、通勤ができるようになった。これに伴い、23日より省外に繋がる基幹高速を含む道路封鎖を解除し、25日から公共バスの運行を再開し、28日より地下鉄の運行を再開した。
同時に23日より感染で死亡した患者の8箇所の斎場で火葬された遺骨の返還が開始された。
ここでは、中国の調査報道機関「財新ネット版」に掲載された記事から、都市部の斎場現場での様子とともに現場の骨壺の数量と死者数の乖離に関する疑惑、また遺族への自由な墓参の停止などの措置などを紹介する。ネット上でも、遺骨引取まで4時間以上を要し、200メートルを超える行列などの投稿画像が何故か削除されていると言われている。
この記事の死者数の疑惑とは、1月20日から2月10日まで、①PCR検査キッドの不足で新型コロナ肺炎による死亡症例数とほぼ同数の擬似症例による死亡事例数があること、②自宅死亡及びその他新型コロナ肺炎以外の症例数は、町内及び民政部門しか把握されていないとの指摘に起因する。
私は、2月12日急遽、武漢市の感染者数が臨床診断(レントゲンなど)によるカウント数となったため、一日の患者数が14109名となり、感染者数は当てにならないと判断し、死者数だけを日次で集計してきた。このメモよれば、上記20日間(1月20〜3月10日)の死亡者(全中国)は1051名であった。武漢市と全中国との死亡者の比率は、77:23であることから、この比率から、武漢市の死者数の推定は810名となり、その800名程が加算されなければならないことになる。
この800名には、直接コロナ感染によるものでない死者がマイナス要因となり、自宅の死者はプラス要因となる可能性をもつが、少なくても700名後半の数字:750名前後が加算される可能性が高いと判断した。
この記事では、骨壺数の搬入数から、武漢市の死者数に対して大きな疑問を投げかけているが、実際の死者数とりわけ、新型コロナウイルス肺炎を死因とする死者数は、特定できないと思われる。しかし、今後武漢市の8つの斎場における荼毘数と死者発表数との乖離をみれば、大凡の推計は可能であると思われる。
それから、この記事を読んで、気が付くことは、4月4日の清明祭までに遺骨を返還することを明確にしているが、各遺族らが、集まって、通夜や送別会、また墓参さえも、4月30日まで禁止していることである。その措置の目的を「墓参の集中に伴う感染蔓延を防止する」としているが、遺族らの市政府への憤懣や怒りなどが4月4日に集中することへの警戒と防衛という意図を感じた。
記事にある通り、コロナ肺炎患者の入院に伴い、自宅治療となり、父を亡くした劉萍さんの無念とともに、60年共にして伴侶を失った妻の夫への切なる姿勢は、読む人の心を掴んで離さない痛ましい描写である。
以下訳文
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武漢遺骨引渡を開始、漢口斎場に死者遺族、長蛇の列
2020年03月26日 23:18 来源于 财新网
武漢市新型コロナウイルス肺炎感染防疫指揮部は、墓参の集中に伴う感染蔓延を防止するために、2020年清明祭期間中の墓地現地への墓参を停止し、オンラインでグループによる墓参サービスを提供すると発表した。
【財新ネット版】(記者:包志明 カメラマン 丁剛)
3月26日朝8時、漢正街に住む劉萍さん(仮名)は社区職員とともに、武漢市漢口斎場を訪れ、長蛇の列に並んだ。前日午後に彼女は、亡くなった父の遺骨引渡の通知を受けた。
漢口斎場には200メートルに及ぶ二人一列の長蛇の列が、斎場の静雅会館の入口から、くねくねと東側の乾和会館まで伸びていた。3月23日武漢は各斎場にて新型コロナウイルス感染期間中に、亡くなった住民の遺骨の引渡を開始し以来、同様の行列が、各斎場及び公共墓地にできていた。
漢口斎場静雅会館は、亡くなった遺族が埋葬手続き処理と遺骨の引渡を行う場所となっており、各死亡者に一人の遺族が会館に入ることができた。劉萍さんは先ず、番号発行機で受付番号シートを受け取ると、職員に対して住民死亡葬儀証、死亡者身分証、彼女の身分証明書を渡し、受付表に記入した。上述の事務処理を終えると、劉萍さんは、一枚の証書を受け取り、証書と引換に一つの無料骨壺を受取り、その後会館内で番号を呼ばれるのを待った。骨壺は埼玉、青野翡翠、四川白翡翠の3種類に分けられ、劉萍さんは父が生前に好んでいた四川由来の白翡翠色を選んだ。
劉萍さんの父は、以前から脳腫瘍で入院し、1月末病院は、病室を空けて新型コロナウイルス肺炎患者を収容したために、自宅治療となった。しかし自宅で治療する術もなく、父の容体は益々重くなってきた。3月初旬に病院は、問診を再開し、父はようやく再び入院することができたが、時すでに遅く、数日後に亡くなった。「本当にこの感染は、厄介者だ。私の父は、新型コロナ肺炎で亡くなったのではないが、しかしこの感染で間接的に殺されたのです。」と語った。
午後二時までずうっと待ち続けて、漸く劉萍さんの番号が呼ばれ、彼女は遺骨テーブルの窓口で、記入書類と空骨壺を渡し、暫くしてテーブルに、紅い布袋と,黄色い布で覆われた骨壺を手にすることができた。傍らで待機していたボランティア職員が、黒い傘をかざして、劉萍さんを会館から送り出した。会館のなかは、その間中、非常に静かであり、ときたますすり泣く声が伝わってきた。「私の泪はもう泣き尽くして出ません。いまは、ただただ、父の事後のことをしっかり済ませたいだけです。」と話した。
武漢には現在、漢口斎場、武昌斎場、青山斎場、蔡甸斎場、黄陂斎場、新洲斎場、江夏斎場、回教徒斎場の8つの斎場があり、前者3つの斎場が中心区域にある。漢口斎場職員は、多くの死亡者遺族が番号待ちで約5時間から6時間を必要とし、彼らは予約ができず、斎場の遺骨が多すぎて、人手が足りず、遺骨を捜し当てるには時間を要するのだ。「もっともよい方法は、ネット上で先に予約する方法であり、かかっても1〜2時間で遺骨を引き取ることができる」と言う。
ある職員が明かしてくれた。2月の最も忙しい時、斎場は勤務時間が毎日19時間に及び、男性職員が総出で、遺体の処理に狩り出された。「あまりにも多すぎる」。上級幹部は、我々に清明節(4月4日)迄に遺骨の引渡を完了し、死亡者を一日も早く埋葬させたいと要求した。ここには、新型コロナ肺炎で亡くなった方と、その他の原因で亡くなった方がいると言う。
劉萍さんが骨壺を手にし入口から出た頃、大きなトラックが静雅会館の西門に停車していた。車の荷物は、漢口斎場が購入した骨壺であった。運転手は、一台で約2500個の骨壺を積める。昨日既に一台分を降ろした。斎場の十数名の男性職員によってトラックから静雅会館の補助ホールに500個が1山で7山ほどの骨壺が運び込まれたと言う。
午後3時武漢は、どしゃぶりの雷雨となり、車の骨壺はまだ半分も降ろされていなかった。劉萍さんは、骨壺を受取ってすでに車で行こうとしたが、朝から並んでいた小道にはまだ雨のなかで待つ老婆の姿があった。皆が先に門の外に停められた車で、雨から待避するように勧めたが、老婆は、伴侶とは結婚して60年余り、かつてこのように離れたことがなく、また伴侶がこの度行ってしまってからとても長く時間が経っており、彼がでてくる最も近いところで待っていたいのだと言う。親族たちは、老婆に傘をかざして、ただひたすら待ち続けていた。
午後4時財新記者が斎場から立ち去ろうとした時まで、依然として遺骨を引取にくる死亡者遺族が絶えず、番号発行機の番号はすでに230番余りとなっていた。現場職員は、ネット予約できた遺族も大体これ位だと言う。
3月26日現在、武漢市発表の新型コロナ感染者確定診断症例は50006人、死亡者は2431人である。当地の三級A病院(訳者注:中国で最も上級の病院)の救急科医師が記者に話したところによれば、感染期間中、とりわけ、1月下旬から2月上旬の20日間は、PCR検査キッドは不足し、病院では、新型コロナ肺炎による死亡症例数とほぼ同数の擬似症例による死亡事例があり、自宅死亡及びその他新型コロナ肺炎以外の症例数は、町内及び民政部門しか把握されていないと言う。
3月24日、財新記者が訪れた漢陽区扁担山公営墓地では、埋葬処理をする死亡者遺族が、墓地の外まで並んでいた。公営墓地の価格は、数万元から数十万元(訳者注:15万円から150万円)であり、新型コロナ死者は3割引という。
記者の資料によれば、漢陽区永豊町内での感染期間の死亡者は69名であり、武漢のすべての13の管轄区には、108箇所の町内事務所、21箇所の郷鎮、15箇所の村、1107箇所の社区、2033箇所の行政村がある。
3月26日、武漢市新型コロナウイルス肺炎感染防疫指揮部は、墓参の集中に伴う感染蔓延を防止し、住民の身体の健康と生命の安全を確保するために、2020年清明祭期間中の現地墓参を停止し、オンラインによる集団墓参サービスを提供すると発表した。また通知では、全市斎場、公営墓地、遺骨堂は、通夜、送別、墓参など人の集まる活動を一時停止し、通常開放は早くとも4月30日以降とするとした。
民政部門は、統一的な準備をすすめ、各公営墓地では管理部門が陵園内の死者を埋葬する集団葬儀を組織し、各斎場では職員を組織し、斎場に死者の遺骨を預かり、集団葬儀を執り行い、私営墓地は無料で、オンラインによる墓参サービスを提供するものとした。死亡者遺族が、公営墓地のネット上の窓口にて死者実名を登録し、墓参することができるものとした。
以下原文
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武汉开放骨灰领取 汉口殡仪馆逝者亲属排起长队
2020年03月26日 23:18 来源于 财新网
武汉市新冠肺炎疫情防控指挥部发布通告称,为防止因集中祭扫引起疫情扩散蔓延,2020年清明节期间暂停现场祭扫服务,推出集体祭扫服务,提供网络祭扫服务。
【财新网】(记者 包志明 摄影记者 丁刚)
3月26日早上8点,家住汉正街的刘萍(化名)在社区工作人员陪同下,来到武汉市汉口殡仪馆,加入了一条长长的队伍。前一天下午,她接到通知,可以来此领取她去世父亲的骨灰。
汉口殡仪馆里这条近200米的长队,两人一排,从殡仪馆静雅厅的大门口一直蜿蜒至东侧乾和厅的门前。自3月23日武汉开放各殡仪馆领取新冠肺炎疫情期间去世人员骨灰以来,类似的排队现象在各殡仪馆和公共墓地出现。
汉口殡仪馆静雅厅是逝者亲属办理殡葬手续和领取骨灰的场所,每位逝者只有一位亲属可以进入大厅。刘萍先是在取号机上取号,然后向工作人员提交居民死亡殡葬证、逝者身份证、她自己的身份证等证件,并填写表格。办妥上述事宜后,刘萍拿到一张票据,凭票可免费领取一个空骨灰盒,然后在大厅等候叫号。骨灰盒分为岫玉、蓝田玉和川白玉三种,刘萍选了川白玉,这是她父亲生前比较喜欢的颜色。
刘萍的父亲此前因脑瘤住院,1月底医院清空病房收治新冠肺炎病人,父亲只能回家,但家中没有治疗条件,父亲的病越来越重。3月初医院恢复门诊,她的父亲才得以重新住院,但为时已晚,几天后就去世了。“这个病真是害人,我父亲虽然不是因为新冠肺炎而死的,但也是被它间接害死的。”
一直到下午2点,刘萍的号才被叫到,她在“发灰台”窗口递交了填写的材料和空骨灰盒,没多久,发灰台将用红布包盒身、上盖黄布的骨灰盒放到刘萍手中。在一旁等候的志愿者举着黑伞将刘萍送出大厅。整个过程中,大厅内非常安静,偶尔会传来轻微的抽泣声。“我的眼泪早已哭光了,现在只想好好把我父亲的后事办完。” 刘萍说。
武汉目前共有汉口殡仪馆、武昌殡仪馆、青山殡仪馆、蔡甸殡仪馆、黄陂殡仪馆、新洲殡仪馆、江夏殡仪馆、回民殡仪馆等八家殡仪馆,其中前三个在中心城区。汉口殡仪馆工作人员表示,之所以许多逝者亲属需要等五六个小时才能排到号,是因为他们之前没有预约,殡仪馆的骨灰太多,人手不足,寻找需要花很多时间。“最好的办法就是网上先预约,这样最多一两个小时就能领到骨灰了。”
一位工作人员透露,2月份最忙的时候,殡仪馆每天要工作19个小时,每个男性员工都被叫去抬遗体,“实在太多了”。他说:“上级要求我们清明(4月4日)前把骨灰都发放完毕,让逝者早日入土为安,这里面有得新冠肺炎死的,也有其他原因去世的。”
刘萍领取完骨灰盒出门时,一辆大货车停到静雅厅西侧门口,车上装载的是汉口殡仪馆订购的骨灰盒。司机表示,他这一车一共装了2500多个骨灰盒,昨天已经来卸过一车。殡仪馆十几位男性工作人员来到大货车上,把骨灰盒搬到静雅厅的侧厅存放,每500个一垛,目前一共有7垛。
下午3点,武汉下起瓢泼雷雨,还有小半车骨灰盒没有搬运卸下。刘萍领取完骨灰已经坐车离去,在早上排队的小路边,一位老奶奶还在雨中等待。众人都劝说她先去门外的车里避避雨,老奶奶却说,她和老伴结婚60多年了,从来没有分开很久过,她老伴这次走了那么久,她一定要在最近的地方等他出来。亲属们只好打起了伞,继续等待。
下午4点,财新记者离开殡仪馆时看到,依旧有逝者亲属前来领取骨灰,叫号机的数字已经到了230多。现场工作人员表示,网上预约前来的也大概是这个数字。
截止3月26日,武汉市官方公布的新冠病毒感染确诊人数为50006人,死亡人数2531人。当地一位三甲医院急诊科医生向财新记者介绍,在疫情期间,尤其是1月下旬至2月上旬的20天里,由于核酸检测不足,其医院同期有几乎与新冠肺炎确诊死亡病例数量相当的疑似病例去世,至于在家中死亡及其他非新冠死亡病人的具体数字,只有街道及民政部门掌握。
3月24日,财新记者在汉阳区的扁担山公墓看到,亦有办理墓葬的死者家属在公墓外排队。该公墓每个墓位售价几万元至几十万元不等,新冠逝者可打七折。记者获得的一份资料显示,汉阳区永丰街道在疫情期间死亡人数为69人。资料显示,整个武汉13个市辖区总计有108个街道办事处,21个镇,15个乡,1107个社区,2033个行政村。
3月26日,武汉市新冠肺炎疫情防控指挥部发布通告称,清明节将至,为防止因集中祭扫引起疫情扩散蔓延,保障人民群众的身体健康和生命安全,2020年清明期间暂停现场祭扫服务,推出集体祭扫服务,提供网络祭扫服务。通告显示,全市殡仪馆、公墓、骨灰堂暂停开展守灵、告别、祭扫等人员聚集活动,恢复开放时间暂按不早于4月30日执行;民政部门将统一安排,由各公墓管理单位组织工作人员为安葬在陵园内的逝者举行集体祭扫仪式,由各殡仪馆组织工作人员为骨灰寄存在殡仪馆的逝者举行集体祭扫仪式;经营性公墓管理单位免费提供网络祭扫服务。逝者家属可实名登录逝者所在公墓的网上平台祭扫。
by inmylife-after60
| 2020-03-28 16:05
| コロナウイルス
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