2020年 03月 14日
武漢でなぜ医療が崩壊し、医療従事者が多数亡くなったのか? |
写真和訳:
「今日のことは早くからわかっていた。彼らから批判されようがされまいが、我々は至る処で拡散すべきだったんだ」ー艾芬
「2019年12月30日、武漢センター病院医師艾芬は、検査報告を「SARSコロナウイルス」という表現で、同窓生に伝えた。その夜その報告が武漢の医師ネットワークに転送された。情報伝播の発生源として、彼女は病院規律委員会に呼び出され「これまでかってない酷いデマ」と責任を追及された。彼女は、専門家としてデマの流布者と名指しされた。」
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この宣言を聞き、今回のコロナウイルスの世界的感染の根源を問うことが必要であり、尚かつ人命に関わる安全保障というテーマも提起されているのだと思われる。
今回の感染震源地は、武漢であることは疑いないが、武漢の卸売市場を感染源とする見解以外にも、付近にある研究所などを感染源とする見解も発表されており、今後の感染ルートの究明が始まるであろう。
一方で、日本の感染について、今週(3月9日)以降、テレビの論調が大きく変貌し、韓国、イラン、イタリアなどの感染爆発国に比べて、日本は、他国とは異なる有効な政策を選択し、爆発的な感染をある程度抑制してきており、それはいわば、感染を制御できた日本側のモデルである等という言説が報道され、「日本は凄い!」コールの様相を呈しはじめた
しかしその日本型感染抑制モデルとは何かといえば,それは、院内感染防止を理由に「発熱に伴う来院と検査を4日以上(高齢者は2日以上)の発熱者に限定する」ガイドラインにある。
これは、その後の専門家会議メンバーが明らかにしたように、治療手法上の必要ではなく、検体検査キッドの不足、検体採取に伴う感染防止環境(N95医療用マスク、ゴーグル、防護服、消毒薬など)の不足、感染患者を受け入れるクリニック側の非感染患者との遮断された経路の未確保、検査数の増大に伴う陽性患者への対応病床の制約などであり、その殆どが日本の感染症防止に関する医療体制の不備によるものであり、肺炎ウイルスへの疑念をもつ発症患者本位ではなく、人命に関わる安全保障を怠ってきた医療機関側の制約をその理由とする本末転倒のガイドラインである。
ここでは今日中国のSNS上で話題となっている武汉中心医院紧急科主任的艾芬医師が中国杂志「人物」に語った談話に関するコメント記事を見つけたので、紹介したい。
日本でも、「医療崩壊」が武漢の典型事例として話題になっているが、艾芬の談話は、医療崩壊がどのようにして起こったのかがとても良くわかるとても勇気ある証言である。それは、まさに人・人感染の発生と進行という真実を隠蔽することによって理不尽で絶望的な医療環境と処遇が強いられ、医療従事者が次々と倒れていく医療現場の苦渋に満ちた証言であった。艾芬医師が今後どのような状況になるのかを注視しなければならない。
医療崩壊は、2019年12月30日の人・人感染の発見から2020年1月20日の中国政府の危機対応開始までの、約3週間の遅滞がその本質的根源であると考える。
とりわけWHOと中国があたかも中国の防疫措置を世界に貢献し、感謝されるべきものだとする習近平政権の言説を検証する意味でもこの証言のもつ意味はとても重要である。艾芬女史が不当な処遇を受けるとすれば、国際的批判と弾劾を浴びせることが不可欠である。
尚、中国杂志「人物」に掲載された艾芬女史の証言全文をネット上に見つけたので、近日中に翻訳公開する予定である。
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ネット防衛戦、艾芬医師の新型コロナの隠蔽談話が
次々と削除され、次々と複製されている。
3月10日以来、中国SNSで奇妙なことが起こっている。雑誌「人物」で「发哨子的人:(訳者注:警告者)のインタビュー記事は、封殺されて却って別の話題として語られ始めた。ネット検閲官が次々と削除すると、ネット民は、絶えず、その削除を認めず、狂気のような転載競争の如くに多様な方法で無数に復元され、転送され、十数ヶ国の言語で、メディア、大衆紙、ネット上に現れ、甲骨文、イデッシュ語でさえ書かれている。それは、一種の検閲官との生死を分ける決闘のようであり、束の間の貴重な記憶を保存する為でもあるようだ。
何故このようなになったのか?「人物」誌が報道したのが、武漢センター病院急診科医師艾芬(訳者注:aifen:がいふん)であることだけでなく、語ったことが、三千名を越える武漢の医療スタッフの感染と殉職という悲惨さだけでなく、また艾芬の所属する病院が、4名の医療スタッフの殉職、4名の危篤者を出し、また院内でウイルス感染者が200名を越え、損失が余りに甚大であることだけでもない。それはもうひとりの警鐘者李文亮が彼女の同僚であったことだった。
同僚たちは、巨大な代償を払い、患者を診察して、一人また一人と倒れていくことに、艾芬は当事者として非常に後悔し、「今日のことは早くからわかっていた。彼らから批判されようがされまいが、我々は至る処で拡散すべきだったんだ」と回顧していることである。
ある評論家は、これをようやく言論の自由の本土化の現れと評したが、艾芬は沈黙を強いられ、抑圧されていたが、ついに勇気をもってそのすべての詳細を打ち明けた。彼女は、重大な隠蔽を明かしたのだ。
本来、李文亮らを含む8名は、警察によって召喚尋問され、根も葉もないうわさを伝播したと訓戒された医師であり、彼らは友人達とネットで資料を明らかにして、武漢でSARSと深く関わりのあるウイルスが出現したとする重大な情報を発信した。それは艾芬の発信した検査写真に基づくものであった。
艾芬によれば、病院で最初の患者と接した時期を12月14日と述べた。以後、患者が急診科から伝染科に転送され、彼女は、同僚の口から最初にコロナウイルスという4文字(訳者注:「冠状病毒」)を聴いた。その後直ぐに彼女は、患者の感染不明の肺炎のCTスキャン報告を見て、重大な人・人感染の拡大が正に発生していることを敏感に察知し、直ちに医師同級生に転送し、注意を喚起したのが12月30日であった。
その後この情報は李文亮を経由して武漢の医師ネットワーク網に転送された。この日、武漢衛生健康委員会は、武漢の医師にこの件に関する発話を禁止する旨の通達を発し、12月31日、彼女の所属病院当局は、医師が外部に感染がすでに拡散しているという重大な事態について話すことを禁止し、この日艾芬は病院通達に接して、当局は彼女と話すことになった。
この会話は、非常に衝撃的であり、病院幹部は彼女にどうして専業専門家として外部に感染発生に関する件を知らせたのかと責任を追及し、彼女の言葉によれば、武漢市の発展という大局的な局面を彼女一人によって破壊されたというものであった。
彼女は一気に絶望的な気持ちになった。彼女はこれから全力で命を助け、負傷を治すことに専念しようとしたのだが、しかし情報は封殺され、医療スタッフは、院内で防護服を着ても外では保護服を着けることができず、甲状腺乳腺外科主任江学慶は、マスクを付けて会議に出席したところを、病院幹部に批判され、理由はパニックの起因になるというものであった。
結果として、多くの患者を救済することができず、多くの医療スタッフにしかるべき防護措置を手配できず、彼女は周辺のスタッフが一人また一人と倒れていく姿を見て、助けることができずに絶望したのだ。彼女は、もし情報は明らかにされていれば、このような多くの同業者が倒れ、このように多くの人が死ぬことはなかったと語った。彼女の表現は穏やかだが、人々への効き目は明瞭で、一種の告発である。
時を経ずに、武漢は数千人が死に、数万人が感染し、生まれた傷跡は、恐らく巨大で計り知れない。2月21日、新型コロナウイルは、世界に走り出し、幹部が彼女に話した時に、彼女は、彼らが当初彼女を批判したことが間違いであり、彼らが彼女に謝罪すべきであると願った。「しかし、敢えて問うことをしなかった」。彼女は、何らの上級機関からの謝罪の気持ちを得ることはなかった。
艾芬医師は、所属のセンター病院の一角から、彼女が体験したことを述べ、人々にこの感染が最初の数人の患者から如何に数え切れない数に拡大したかを徹底的に明らかにした。これは、すべて情報隠蔽により造られたものであり、一貫して隠蔽して、遂に都市封鎖、各省閉鎖に至り、中国は半ば半身不随にあり、経済は敗退にまみれ、今日この感染は、気が狂ったように世界を蹂躙している。
武漢の感染は政府筋の隠蔽により、累々として死傷者を生み、徐々に地球規模に及ぶ感染の大流行となった。政府筋は、今日に至るまで、最初の感染隠蔽を曖昧にし、お茶を濁す態度に終始し、ある政府筋は恥知らずにも世界に感謝を求めている。検閲官が依然として狂ったように過去を削除する状況のもとで、幸いにも当局の隠蔽に関する調査報道が益々増え、詳細情報が益々充実してきた。たぶんある日、武漢感染ルートが完璧に世界に明らかにされることになるだろう。
最も驚愕すべきは、艾芬医師のインタビュー談話が、政府高官の潜在的意図を表す証左となったことである。3月10日に海外に広範囲にわたり流布された現場のビデオがその証である。3月6日、中国国務院報道弁公室は、新型コロナウイルスの肺炎疫病発生情況と進展に対する発表会を開催した。
中共中央指導部・国務院副事務局長丁向阳は、今回の感染発生初期に主に、本年1月末迄に湖北省は3000名を越える医療スタッフが感染し、そのなかで40%は院内感染であり、60%は住居地域感染であり、院内感染の被害者は、湖北出身の医療職員であり、大多数は非感染科系の医師であると語った。
以前より、武漢当局は1月16日まで一貫して院内感染の発生を否定し、中国国家衛生健康委員会副主任曾益新は、2月14日になって、2月11日現在、湖北省の院内感染数は1502例であると発表した。
たぶん重大な機密を漏らしたくないが為に丁向阳は、何故武漢はこのように多くの死者を出したのか、何故本来回避できる機会があった悲劇を避けることはできなかったのか、何故、医療機関が感染して、崩壊したのかについて述べたが、しかし「人物」誌上の艾芬医師の談話が、その最も適切な解説なのである。
以下原文
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网络保卫战 艾芬医生谈新冠隐情 一次次遭删帖一次次再复活
3月10日以来,中国社交网络出现奇观,『人物』杂志一篇叫做『发哨子的人』的访谈,文章被封杀后开始了另外一个故事,审查官一次次删帖,网民始终不肯罢休,就像一场疯狂的接力赛,以各种方式使其无数次复活,转发,以数十种语言在各种自媒体、公众号、网站转发,甚至用上了甲骨文,意第绪语,好像这是一场与审查官的生死决斗,好像这是为了保存一个稍纵即逝的珍贵记忆。
为什么要这样做呢?大约不仅仅是『人物』报道的武汉中心医院急诊科医生艾芬,叙述的不仅仅是三千多名武汉医护人员被确诊,有的甚至殉职的悲情,仅仅艾芬所在医院,就有四名医护人员殉职,还有四名濒危,她的医院,大约感染病毒的就有200多么,可谓损失惨重。另一名吹哨人李文亮,就是她的同事。同事们付出了巨大的代价,眼看着病人一个个倒下,艾芬回顾这一切觉得作为当事人非常后悔,“早知道有今天,我管他批评不批评我,老子到处说”,有人评论这才是关于言论自由的本土化表述,艾芬虽然被噤声,虽然被压制,但她终于勇敢地说出来所有的细节! 她表述出一个重大隐情,原来包括李文亮等八位被警方传讯训诫指责传谣的医生,他们在朋友圈曝料,武汉出现了堪比sars的病毒的重大消息,就是依据艾芬医生发布的照片。
艾芬在叙述中,提到的医院接待的第一个病人的时间是12月14日,后来从急诊科转至传染科,她从同事嘴里第一次听到冠状病毒四个字。随后,她看到了关于一名患者感染不明肺炎的CT报告,敏感地意识到一个重大的人传人的疫情正在发生,赶紧转给医生同学,提醒注意,这时候是12月30日,从此,这个消息经李文亮等人,传遍了武汉的医生圈。也就是在这一天,武汉卫健委下达通知,禁止医生谈这件事,12月31日,他所在的医院当局下达文件,禁止医生不能对外界谈论已经发生了疫情这一重大的事件,也就是在这一天,艾芬接到医院通知,约她谈话。
这是一场非常严厉的谈话,医院领导责怪她作为专业人士,岂能向外界告知发生了疫情这件事,用艾芬自己的话说,好像武汉市发展的大好局面让她一个破坏了。她一下子感到绝望。从此,她尽全力救死扶伤,但是信息封闭,甚至医护人员穿保护服,也不能穿在外面,甲状腺乳腺外科主任江学庆戴口罩去开会,被院领导批评,理由是不要引发恐慌,结果大量的病人无法得到救助,大量的同事得不到应有的保护,她眼看着周围的人一个个倒下去,无助,绝望,她说,如果信息透明,就不会有那么多的同行倒下去,就不会有那么多的死人,她的表达很平和,但能让人感觉到一种力量,一种控诉。
多少天后,武汉死了几千人,几万人受到感染,造成的伤痕恐怕巨大的无法估量。2月21号,新冠病毒走向世界,领导跟她谈话时,她希望他们承认当初批评她批评错了,他们应该向她道歉,“但是我不敢问”,她没有等到任何来自上方的歉意。
艾芬医生从自己所在的中心医院的一角,描述了她的亲历,但让人们彻底明白了这场疫情是如何从最初的几个患者,扩大到不可计数,这一切都是隐瞒信息造成的,一直隐瞒到最后封城,封省,中国半国瘫痪,经济败象频频,今天,这场疫情在全世界疯狂肆虐。
武汉疫情经官方层层隐瞒,造成死伤累累,一步步构成全球大流行。官方至今还对最初隐瞒疫情抱着一种得过且过的态度,官媒竟然无耻到要让世界感谢。好在,在审查官仍然一如既往的疯狂删节下,揭露当局隐瞒的调查性报道越来越多,细节也越来越充实,也许,有一天一个武汉疫情路线图将会完整地呈现在世界面前。
最令人惊讶的是,艾芬医生的访谈得到了高官的无意识佐证。有3月10日开始在海外广泛流传的现场拍摄的视频为证: 3月6日,中国国新办举行新冠肺炎疫情防控救治进展情况发布会。中共中央指导组成员,国务院副秘书长丁向阳说,在这次疫情发生早期,主要是今年1月份和1月份之前,湖北省有超过3000名医护人员被感染,其中40%是在医院感染,60%是在社区,都是湖北当地的医务人员,大多是非传染科的医生。
此前,武汉当局一直到1月16日,都坚持没有发生医护感染,中国国家卫健委副主任曾益新2月14日又称,截至2月11日,湖北报告的医护感染是1502例。
丁向阳或许无意泄露天机,为什么武汉会死那么多人,为什么一场原本有机会避免的悲剧没有避免,为什么医护会感染得一塌糊涂,『人物』关于艾芬医生的那篇访谈就是最好的注解。
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by inmylife-after60
| 2020-03-14 13:14
| コロナウイルス
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